「ラバーダム防湿」を施した根管治療が、再発リスクを抑えると評判です
みなさま、こんにちは。
川口市 南鳩ヶ谷駅エリアにある、はとり歯科医院です。
皆さんは「ラバーダム防湿」をご存じでしょうか?
「ラバーダム防湿」とは歯科用のゴムのシートを用いて、治療する歯のみを術野に露出させて歯を治療する方法です。アメリカやヨーロッパでは歯科治療(主にむし歯の治療)の際、普通に用いられるものですが、残念ながら日本ではラバーダム防湿を使用する歯科医院はめずらしいという現状です。
まずは根管治療について説明しましょう。
「根管」とは、歯の根っこの中の部分。根管には神経や血管など(合わせて歯髄と呼ぶ)が通ります。重症化したむし歯になるとこの歯髄まで口腔内細菌の感染が広がり、炎症(歯髄炎)を起こします。炎症を起こした歯髄を根管から取り除き、根管内の再感染や他の組織への炎症の波及を防ぎながら歯を残す治療を「根管治療」といいます。
しかし、唾液中には細菌が含まれており、再感染を防ぐためにも根管内に唾液が流れ込まないようにする必要があります。それを防ぐのが「ラバーダム防湿」です。
ラバーダム防湿は治療する歯だけを術野(治療する部分)に出し、薄いゴムシートを使用して治療する歯以外のお口部分を覆い隠す方法(下図)です。
ラバーダム防湿が根管治療中の細菌の再感染を防いで治療の成功率を上げる理由をまとめてみました。
1.唾液からの感染、お口の中の湿気を防ぎます
先ほど説明したように唾液中には多くの細菌が含まれます。一度、根管治療を行ったのに再治療が必要になるケースは、再感染を防ぎきれなかったことがその理由の多くです。
また、虫歯の治療において歯に唾液などが付着していると詰め物がうまく接着しませんが、ラバーダムは唾液などによる汚染を防止するためしっかりと接着させることが可能になります。
2.殺菌効果の高い薬剤が使用できます
根管治療では歯の内部を無菌状態にする必要があることから、さまざまな薬剤を使用します。ラバーダムに遮られたお口の粘膜は保護されますから、強い消毒薬も使用することができます。
3.舌や頬を傷つける心配がないので、集中して治療が行えます
ラバーダム防湿を使用すると患者さんの舌や頬を傷つける恐れは一切なくなるため、医師も患者さんも治療に集中することができます。
4.治療器具などがお口の中や喉へ落下するのを防ぎます
特に根管治療では小さく、細かい治療器具が数多く用いられるため、それらを誤って患者さんのお口や喉に落とさないためにもラバーダムによる保護は欠かせません。
5.感染症予防にも効果があります
ラバーダム防湿を行うことにより、歯科治療中に発生するエアロゾルへの唾液混入を防ぐことができます。それにより、新型コロナウィルスなどの感染を予防することができると報告されています。加えて、口腔外バキュームを併用することにより、その効果はさらに上がると言われています。
根管治療は細菌の再感染をいかに防げるかが治療成功のカギを握ります。
ラバーダムを用いた治療は再発・再治療のリスク軽減につながり、患者さんにとってさまざまなメリットをもたらします。